ハァーイ、こんにちわ、ミクでーす。
いつも私の歌を聴いてくれて、ありがとう。
&アーンド、今日も来てくれて、ミクちゃんとっても感激!
え、何?
いつもとチョッチ雰囲気が違う?
いつからメガネっ娘になったのかですって?。
フッフッフ、お兄さん(&お姉さん)鋭いねー。
ミクは科学の子なんだよ。
最新型CPU搭載、メモリー増設っ、クロック10倍アップで、
とーってもインテリジェントでキュートなレディに変身!
もうネギばっかり振ってるアホの娘なんて、言わせないんだからっ!
ということで、まずは1曲目、「確率って何だろな?」
それではいってみよー、ミュージック、スタート!
確率ってなんだろな 当たれば100%かな
コインの表と裏とでは どうして同じなんだろな
同様に確からしいかは 本当は誰にもわからない
数学世界の公理では 集合論から始まるの
全部をたしたら1になる それが確率って数字なの
すべての事象の加法族 足すのはルベーグ積分ね
リーマン積分縦に切る ルベーグ積分横に切る
開集合は開集合 閉集合は閉集合
確率って何だろな?
・・・実はこれ、とーっても難しい問題なんだよねー。
だって、どんなに小さな確率だって、当たれば100%になっちゃうじゃない。
ミクの見ているアニメだと、かっこいいヒーローが
「たとえ1%の望みであっても、俺はその可能性に賭ける!」っていったときには、
間違いなく100%の確率で望みがかなっちゃったりするんだよねー。
だったら、はじめの1%って数字は何?
やっぱ確率って信じられなーい、って思っちゃう。
で、思い切って難しい本みてみたら、
「確率とは、ルベーグ積分と見つけたり」
って書いてあるんだけど・・・さっぱりわかんないんだよねー、これが。
そ・こ・で、積分ほにゃららのところはすっとばして、ずばり結論を教えちゃいます。
確率とは「全部足して1になる数のこと」なのです。
えっ、何それ、それだけ?
サイコロとか、お天気とか、全然出てこないの?
はい、出てきません。
純粋な数学には、そういう「経験的確率」はぜんぜん出てこないのです。
・・・あっ、いまジュンスイとケイケン、ってとこだけ聞いてたでしょ。
そっ、そんなんじゃないんだからねっ。(ぷんすか)
カクリツよ、か・く・り・つ。
実は、確率とは何かってことがちゃんと決まったのは、そんなに昔のことではないの。
といってもミクが生まれるよりは昔なんだけどね。(若い!)
20世紀の前半くらい。
それまでなんとなーく、確からしさのことなのかなー、くらいに思っていたのを、
「こるもごろふ」っておじさんが、そんなことじゃいかーん、ってカツを入れて、ビシッっと決めたの。
ビシッっとね。
どんなふうにビシッとしたかっていうと、サイコロとか、お天気とか、競馬とか、株とか、
世の中にほんとにあるものを、確率の中からぜーんぶ追い出してしまったの。
だって、馬とか株とか入ってたら、そっちの方が気になって気になってしかたないじゃない。
で、よけいな飾りをぜーんぶ脱ぎ捨てて、本当にこれだけですよっていうエッセンスだけを取り出してみたの。
・・・脱ぎ捨てて、に反応したな。ペナルティ2!(ぷんすか)
そのエッセンスが何かって、聞きたい? 聞きたいよねっ!
確率のエッセンスとは、じゃじゃーん!
「集合」
だったのです。(パフパフ)
集合とは、ものの集まり。
何でもいいから、とにかく考えられるものの集まりが、集合なのです。
集合には、何でも入るんだ。
サイコロも、お天気も、馬も、株も、ヒーローの生還率も、なーんでもはいっちゃう、大きな心を持っているのが集合なんだよ。
でも、ただ集めてくればいいってものでもないの。
・含む、含まれる、っていう関係があって、
・集まり同士をくっつけることができて、
・同じ部分だけを取り出すこともできちゃう
のが立派な集合なんだよ。
そうやってできた集合の上に数を割り振って、その数をぜーんぶ足し合わせて100%になったら、
その数のことを「確率」っていうんだ、えっへん。
あっと、マイナスの数はなしだからね。
マイナスの確率って変だもんね。
えっと、なんだかさっぱり分からない? 思ってたのとだいぶ違うって?!
へへー、ミクのCPUパワーを思い知ったか。
でもね、ほんとはとっても簡単なことをいってるだけなんだよ。
サイコロで1が出る確率は 1/6 でしょ。
サイコロには 1/6 が6個あるから、全部合わせると 1/6 x 6 = 1 。
ほら、ぜーんぶ合わせて100%になったでしょ。
そんなのあたりまえじゃない!(ぷんすか)
すうがくって簡単なことを、わざとむずかしくしてイジワルしてるんじゃないっかって疑っちゃうよねー。
そうそう、中にはそういうイジワルーな先生もいると思うけど、きっとほんとは「裸のエッセンス」が見たかっただけだと思うの。
で、確率のエッセンスは、
「集合の上で、全部足したら100%になる数のこと」
でした。
・・・裸の・・・
§1. 公 理
Ωを要素ωの集合とし、FをΩの部分集合を要素とする集合族とする。
このとき、ωを根元事象といい、Fの要素を確率事象(または単に事象)、
Ωを標本空間という。
T.Fは集合体である。
U.Fの各集合Aに、非負の実数P(A)が定められている。
この数P(A)を事象Aの確率という。
V.P(Ω)=1.
W.AとBが共通の要素をもたないとき
P(A+B)=P(A)+P(B)
が成り立つ。
公理T-Wを満たす(Ω, F, P)を総称して、確率空間という。
※コルモゴロフ 確率論の基礎概念(第二版)[根本伸司訳]より引用.
ルベーグ積分ってなんだろな?
えー、えっと、気を取り直して、おたよりコーナーでーす。
「ミクちゃん、こんにちわ♪
ルベーグ積分って役に立つのでしょうか。
ぼくは物理学科ですが、ルベーグ積分が役に立ったことは一度もありません。」
うーん、きみはとっても素直でピュアなハートを持ってるね。
きみの思っているとおり、ルベーグ積分は理屈のための理屈でーす。
役に立つ計算ができるようになったりしません、以上!
・・・って、ミクもずーっと思ってました。
ところが、そんな思いを変えてしまったひとことがあります。
ちょっと固いんだけど、読むね。
一般的理論に還元されてしまうと、数学は内容のないたんなる美しい形式となってしまう。
そしてそれはすぐに死に絶えてしまう。
これは他でもない、ルベーグさん本人の思いだったの。
ルベーグさんの考えはあまりにもかけ離れていたので、最初はまわりからも、自分自身でも、あまり信じられなかったみたい。
このルベーグさんの思いは、きっといまのきみの思いとおんなじなんだ。
そう思ったら、なんだかルベーグ積分をみなおしてきちゃった。
出典、ルベーグ積分30講 [志賀浩二著]。(孫引き)
・・・え、なになに、あんなのアホな娘の読む本ですって。
30講シリーズをばかにすんなー!
べっ、べつにあんたのために読んでるんじゃないんだからね!
えーっと、それじゃあルベーグ積分って何が違うのでしょうか?
そ・れ・は、「リーマン積分縦に切る ルベーグ積分横に切る」でーす。
そんだけ?
はい、そんだけです。
縦でも横でもおんなじじゃない?
ちっちっち、チョッチちがうんだなー、これが。
たとえばむずかしい迷路があったら、反対に出口からたどってみる、ってことをするでしょ。
あれと似てるの。
反対に結果からたどってみると「開集合は開集合 閉集合は閉集合」になっちゃいます。
開集合ってのは、はじっこが入っていない、白丸ってこと。
閉集合ってのは、はじっこが入ってる、黒丸ってこと。
これって反対にたどらないと、ぴったり合わないんだよねー。
でも、はじっこのまるまるなんて、そんな細かいことどうだっていいじゃない!
・・・って思うでしょ。
そこで、問題です。
「時計をみたら、ぴったり3時になる確率はいくつ?」
これってゼロ?
でもぴったり3時って時間はあるはずだよね。
あるのにゼロ、なんで?
そこで、しろまるくろまると、反対からたどるって理屈になるわけ。
確率の範囲がちょうど3時ぴったりになる、もとの時計の範囲はどれだけかなー、ってたどってみると、なんとゼロ。
普通の時計と、3時の無い時計では「ほとんど至るところ」(almost every where)等しいんだって。
ががーん、ミクはおやつの時間はゼロなんだーって言われて、まだネギをもらってません。(ぐっすん)
・・・って、なーんか騙された気がするんですけどー。
あー腹立ってきた、じゃなくてお腹が空いてきた。
ということで、はじっこのまるまるは実はとっても大事なポイントだったのです。
ミクのおやつがかかってんだからね!
ネギ〜・・・
てなことで、あっというまにおしまいの時間になっちゃいました。
みんな、ちょっぴり確率が好きになってくれたかなー?
この調子で、次回もバンバン飛ばしちゃうから、よろしくね!
ばいばーい。